活動報告書

対象年度: 2024

提出日: 2024年09月29日

国名 アフガニスタン・イスラム共和国
学校名 バマハイル女子中学校
Bama Khail Female Middle School
カウンターパートナー 特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
報告担当者 西原京春
生徒数 493
学校概要 本学校は1969年ごろに設立されましたが、校舎建設の着手を待たず学校教育が開始されました。その後1970年代からアフガニスタンは長い紛争状態へと突入し、その間は、断続的に、戦闘状態が収まった際に教員と生徒が集まり、屋外で可能な限りの授業を行いながら、いつの日か戦争が終結すれば新たに安全な校舎が建設されることを信じていました。しかし内戦や外国軍の介入は続き、教育活動は常に危険にさらされ、地域の人々の願いであった校舎の建設は現在に至るまでの約40年間、実現していない状況です。2021年にタリバン暫定政権が権力を握ってからは、これまでの様々な勢力による戦闘が収まったため、子どもたちも学校に戻ってくるようになりましたが、教室がないままなので、今でも少ない木陰を探して授業を行っています。また、同政権の方針で女性が中等教育以上を受けることが禁じられたことにより、アフガニスタンの女子教育が危機的な状況に陥っています。少なくとも今ある女子生徒にとっての教育の場を支援すべく、より優先度の高い学校として本校を選定しました。

支援前の状況


 本校には校舎がなく、生徒たちは屋外にプラスチックシートを敷き、その上に座って授業を受けていました。雨天には授業は中止になりました。また、同校は山岳地帯にあり、1年を通して寒暖の差が激しく、10月には寒さが増して屋外で授業を受けるには厳しい環境でした。生徒たちは寒さに耐えながら授業を受けていましたが、11月から本格的な冬に入ると、積雪や道路の凍結のために授業そのものを継続できなくなる場合が多々ありました。さらにこの地域は、夏の間は厳しい直射日光や地熱を受け、また頻繁に発生する砂嵐のために、体調を崩す生徒も後を絶ちませんでした。  このような劣悪な環境のために、たくさんの子どもが学校に通うことを諦めていました。あるいは保護者らが、屋外の授業環境に不安を覚え、子どもたちを学校に通わせたくないと考える家庭もあり、多くの子どもたちが、学習を継続できていませんでした。

支援後の状況


 2010年、バマハイル女子中学校の設立と同時期にバマハイル男子中学校が設立され、現在に至るまで両校は同じ場所で、男子は午前の授業に、女子は午後に授業を受けています。(男子校は将来、校舎設置の条件が整い次第、別の場所に移転する計画があります。)現在はテントのおかげで、灼熱の太陽や風雨にさらされることなく、生徒たちは授業に集中することができます。また、フカフカのカーペットが敷いてあるので、生徒たちは快適に座ることができています。岩だらけの地面の上に座って授業を受けていた以前は、生徒の服は砂埃や土でドロドロになり、汚れた服のままで家に帰っており、保護者の中には、自分の子どもが足場の悪い場所で授業を受けていることを思うと心配で、学校に通わせるのをためらう人も多くいましたが、今は支援のおかげで服はいつも清潔に保たれ、保護者も安心しています。生徒たちは、学校が大好きだと話しています。

学校からの反響


先生からのメッセージ

バマハイル女子中学校モハマド・グル男性教員:テントはリラックスできるだけでなく、大勢の生徒を収容できるほどの開放感があります。通気性がよく、夏の暑い日には重要です。カーペットも嬉しく、生徒に清潔で柔らかい座面を提供します。ご支援により集中力が大幅に向上しました。
 生徒たちは最近、学校に来るのが楽しくなっているようです。座って学習できる楽しい場所があることを知っているので、授業に出席する意欲が高まりました。保護者もその変化に気付いており、子ども、特に娘を学校に通わせることにためらいがあった人たちも、今では積極的に子どもを学校に通わせようと考え直しています。
バマハイル女子中学校ラル・アガ男性教員: 私は生徒たちと同じ村に住んでいますが、保護者は新しいテントやカーペット、テーブルと椅子にとても満足しています。学校が設立されてからこれほど大きな支援はなく、この地域は大きな進歩を遂げています。

子ども達からのメッセージ

女子生徒ファラシュタさん:テントはとても快適で大きく、私たち全員が一緒に座って勉強したり、グループワークをしたりするのに十分なスペースがあります。私はこの大きなテントが大好きです。コミュニティの人たちは皆、私たちの学校に新しいテントが来ると知って驚き、今では自分たちの子どももこの学校に入学させることができると期待しています。
女子生徒ブラクナさん:以前は学校に通うのをためらっていた同級生の何人かは、この新しいテントやカーペットのおかげで学校に通うようになりました。私たちはテント教室を清潔に保つことを約束します。そして、コミュニティの人たちにも、ご支援のおかげで勉強するための適切な場所ができたので、女の子を学校に通わせるよう勧めるつもりです。
男子生徒サンガーさん:ご支援が日本から来たと聞いており、とても感謝しています。いつか私たちの国が日本のように平和になることを願っています。

その他写真