活動報告書

対象年度: 2024

提出日: 2025年02月21日

国名 フィリピン共和国
学校名 パンダノン エレメンタリー スクール
Pandanon Elementary School
カウンターパートナー 特定非営利活動法人ゴーシェア
報告担当者 事務局長 東村美紀
生徒数 600
学校概要 パンダノン小学校は本離島村落において唯一の教育施設として現在500余名の生徒を抱えている。教育省の管轄はボホール州ヒタフェであるが、管轄内村落コミュニティの中で最も本島から遠く、島内で生活する教員は1名のみであり他の教員は他島からの通いであるため海が荒れたり荒天時には授業が行えないことも多い。また、2021年末の台風時に国内の学校で最大の台風災害を受けた学校であり、校舎破損をはじめ貯水タンクや手洗い場、トイレといった子ども達の健康や学びを支えるべき基本的な施設の復興がなされず未整備状態にある。こうした環境の中、入学率に比して小学校の卒業率は60~70%程度にすぎず、30~40%以上が中途退学、特に女子の離脱率が高く生徒たちの学習継続率を保つことが難しい状況にある。

支援前の状況


該村落は島内全土において水道施設がない現況があり、小学校もまたタンクに貯水する雨水に頼っている状況であるが、その水タンクや手洗い場が破損したままになっており、子ども達は劣悪な衛生状況に置かれている。 もともと設備不足状態であったところに台風の打撃を受け、校舎の1列全て(4教室)を失ってしまったことで、屋外での授業実施を余儀なくされ子ども達は炎天下に耐え授業を受けている。 荒天による授業の中止、水回りの施設不足を含む衛生状況の劣悪さから体調を崩す生徒も後を絶たず、学校に通うこと自体を諦めてしまうケースもみられ、ドロップアウト率も高く、学習意欲や継続率を上げるのが難しい状況にある。  教師達は教え子が学業を諦めてしまう現状を嘆きそのモチベーションにも影響が出ている。  本島から距離的に大きく離れ公的支援の手が届かないことも再建を阻む大きな要因であり、まさに「取り残された」状況にある。

支援後の状況


当該離島における唯一の教育施設であるパンダノン島小学校に水タンクが設置されたことにより、村落児童が適切な環境の中で安定的に教育を受けることができるように環境が整備された。 台風によって破損した教育設備のうち、最も必要とされる水回り施設をまずは再建することで、学びに向きあう子ども達の健康を支えるための衛生環境の改善が図られた。 安心して心身共に健康に学べる施設として環境を整えられたことにより、子ども達の学習への意欲向上を支え、今後も学習継続率や卒業率の向上へと繋げていくことを目指す。

学校からの反響


先生からのメッセージ

パンダノン島小学校への貯水タンク設置という素晴らしいご支援を賜り、誠にありがとうございます。
ご支援いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
この度の貯水タンク設置により、わがパンダノン島小学校の生徒たちは清潔な水を利用できるようになり、衛生環境が大幅に改善されました。
これは、子どもたちが安心して学校生活を送る上で、とても重要な基盤となります。
水回り施設の再建は、子どもたちの健康を守り、学習意欲を高める上で不可欠なものであり、今回の支援は、子どもたちの未来を明るく照らすものと確信しております。
今後、子どもたちがより良い環境で学び、成長できることを心より願っております。
改めて、今回の温かいご支援に深く感謝申し上げます。

子ども達からのメッセージ

「水タンクを設置してくれた皆さん、本当にありがとうございます!
私たちは、いつも水が足りなくて困っていました。でも、新しい水タンクのおかげで、手が洗えるようになりました。
これで、勉強ももっと頑張れます!
本当に感謝しています。」
「日本はあこがれの国です。
いつか行ってみたいです。
そういう国の方達から応援してもらえたことがうれしいです。」

「水タンクのおくりもの、どうもありがとうございます。
わたしたちは、水がなくて大変でした。
でも、これからは、きれいな水で手を洗って、気持ちよく勉強できます。
タンクをみんなで大切に使います。
ありがとうございました。」

「私達のことを知らない方が応援して、プレゼントしてくださった、と聞いて本当に驚きました。
きっと、とてもとても優しい方なんだと思います。
いつか、お会いできたら嬉しいです。
その人が幸せであるよう、祈ります。」

〇現地支援団体NPO法人ゴーシェア、事業担当者からのメッセージ

僕自身、この島で育ったので、「安全な水に手が届かないこと」の恐ろしさを身にしみて知っています。
水がないということは、単に不便なだけでなく、健康を害してしまう可能性も高まります。
特に幼い子ども達には、日々手を洗う場所がある、ということや、そこで洗う習慣を身につける、ということが重要だと感じています。
こういった点において、今回の小学校への水タンクのご支援はとても大きなものでした。

離島の、海風にさらされた過酷な状況に建つ小学校、
台風の被害後、青空教室のままで苦しむ先生や生徒たちー

この姿は僕にとって、見るたびに辛いものです。

国内の支援すら届かない場所で、遠く、日本の方が、この悲痛な声を、小さな声を、キャッチして、子ども達の願いを叶えてくださったことー

感謝しかありません。

本当に、本当に、ありがとうございました。

これからも、共にあっていただけたらうれしいです。

NPO法人ゴーシェア 
現地事務局長 ジェフ・カイザー

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