活動報告書

対象年度: 2000

提出日: 2024年10月21日

国名 ウガンダ共和国
学校名 グル高校
Gulu High School
カウンターパートナー 認定NPO法人テラ・ルネッサンス
報告担当者 小川真吾
生徒数 30
学校概要 ウガンダ北部のグル県グル市にあるグル高校は、1914年に設立され、1986年より北部であった紛争の影響を受けながらも、現在北部のアチョリ地域より多くの生徒が通っている。1986年にはアチョリ地域で数少ない盲学級が併設され、生徒たちはO(Ordinary)レベル(中等教育)とA(Advanced)レベル(後期中等教育)の双方を学ぶことができ、視覚障害者の子どもたちにとって貴重な学びの場となっている。現在盲学級では、30名の視覚障害者が学んでいる。

支援前の状況


ウガンダでは長年の紛争の影響を受け、多くの子どもたちが命と暮らしの危機に直面してきた。加えて、コロナ禍において度重なるロックダウンなどの社会経済活動の禁止・制限により、多くの貧困層は失業や収入の減少により、より厳しい生活を強いられ、学校再開後も子どもに十分な教育を与えられない状況に陥っていた。加えてウクライナ危機の影響で食糧・日用品の物価 がさらに高騰し、貧困層の多くは子どもの教育費を削減せざるを得ない状況にあった。 特に、ウガンダ北部においては、1990年代からの紛争の影響で約3万8千人の子どもたちが誘拐され子ども兵として徴兵されるなど過去に甚大な紛争の影響を受けてきた。現在、治安は回復 しているもののコロナ禍やウクライナ危機の影響もあり、脆弱な子どもや若者たちが学校教育に戻ることが困難な状況が続いている。 こうした状況の中で、障害者に対する教育は限られており、視覚障害者のクラスにおいて必要な教育資機材が不足しており、十分な教育ができない状況に陥っていた。特に、昨今の視覚障害 者に対する教育ツールとして、パソコン等の機材を使った教育が有用であることが言われ続けてきたが、こうした資機材を整える資金が不足していた。また、政府からの支援も限定的で、視覚障害者の教育を拡充させることができない状況にあった。

支援後の状況


ウガンダ北部のグル県、グル市にあるグル高校には、数少ない盲学級が併設され、視覚障害者の子どもたちにとって貴重な学びの場となっていた。しかし、資金不足により、十分な教育環境 が整えられていなかったが、今回の支援により、視覚障害者らがパソコンや専用のアプリケーションを使用して意思疎通する機材を整備することができた。 現在、同クラスで供与した15台のノートパソコンを2名で1台使用する環境が整い、この1年間で30名の視覚障害者がパソコンの使用方法も習得することができている。また、パソコンのメンテナンスやアプリケーションの使用方法などを教師たちも習得することができている。これにより、同校の視覚障害者クラスの生徒たちが、音を通して、さまざまな教育を行うことができるとともに、同校の取り組みがウガンダ北部の他校にも共有され、今後、ウガンダ北部での視覚障害者への教育の質を高めるための好事例にもなっている。

学校からの反響


先生からのメッセージ

普段注目されることのない、視覚障害者への教育に関心を持って頂いた日本の方々に心より感謝申し上げます。これまで、紛争の影響もあり、ウガンダ北部で障害のある子どもたちへの教育は十分に行われてきませんでした。多くの障害者を受け入れる教育環境がない中、今回のご支援で、障害がある子どもたちにも効果的な教育を行うことができるようになりました。今後、同校での取り組みを、同じように紛争の影響を受けたウガンダ北部の他の学校にも共有していきたいと思っています。そして、いつか、視覚障害者だけでなく、あらゆる障害を抱える子どもたちに教育を行っていくことが私の夢です。これからも、障害のある子どもたちへの教育に関心を持ち続けてくださることを心より願っています。この度は、貴重なご支援を頂き、本当にありがとうございました。

子ども達からのメッセージ

今、私は学校に行くのがとても楽しくなりました。毎日パソコンを触って、いろいろな物語を聞くことができます。目が見えなくても、その音から、さまざまなことを想像して、その気持ちを伝えることもできるようになりました。そして、何より嬉しかったことは、実際に私たちに、このような環境を作ってくれた「アソー」さんが、会いに来てくれたことです。目が見えなくても、私たちは感じることができます。「アソー」さんが、トシャさん(現地職員)と一緒に、学校に来てくれた時の雰囲気は忘れません。とても楽しく、とても嬉しい空気を感じました。
日本は、行ったこともない夢の国です。トシャさんから、日本でも、視覚障害を持った子どもたちがたくさんいると聞きました。それでも、頑張って生きている人たちがいるんだと聞きました。私はいつか、日本に行って、同じように目が見えなくても、頑張って生きている子どもたちに会いたいです。これからも、私たちの後輩たちに、支援を続けてくれることを願っています。本当にありがとうございました。

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